2011年3月22日火曜日

夢五夜「友に捧げる二十秋歌」終章


やっと雨が止んだ。今日は我が店の主催する「33th California Cup Yacht Race」の日である。間もなく全艇フィニッシュ。嵐の雨のヨットレースは辛い。以前、青函70マイルを一晩中、波雨風に打たれた。
十六歌
漆黒の津軽の海を渡り来て
           街の灯りに暖かく抱かれ

辛かった..........


昨日の雨が嘘のように晴れた。明け方まだ暁の中、汐首岬にオレンジ色の朝日が昇り始めた。灰色の雲は何処にもない。岬の山肌と海峡のさざ波だけである。日の出から少したつと元町の教会群の白壁も赤く塗り替えられていた秋の朝。
十七歌
汐首の岬を染めし朝の日の 
    教会の鐘 橙(あか)に照らさん



我が家は三人住まいである。娘はロンドン。息子は御殿場。97才の母と家人は介護戦争の毎日である。年老いて身籠ってくれた一人娘だ。自ら申し出た介護ではあるが、病状は日増しに進んで来た。二人の壮絶な戦いに思わず涙した。
十八歌
ももとせに近き母親介護する
                        妻の戦ひ涙溢れん



一雨ごとに寒さが増す。函館山が津軽海峡の漁り火にシルエットで綺麗だ。
十九歌
夕ふぐれの函館の街雨に映え
                        風冷たく秋麓まで



秋空が綺麗である。緑を楽しませてくれた夏草もほとんど抜いてしまった。小さな可憐な花をつけているのは抜くのは可哀想だ。君は何を思い可憐に咲いているのか........


蔦の葉も赤くなり..........
二十歌
野の花の名もなく可憐に紫に
                青空に映え何を思はむ



終歌を捧げる
思ひ出は心の底にそっとおき
                一枚の写真秋少し深し


友、友に感謝申し上げる
稚拙な三十一文字なれど
これだけ詠うだけでも私とって大変であった
ある意味私の処女歌集である
「友に捧げる二十秋歌」.......






1 件のコメント:

  1. 16歌>私が挑んだときには風もなく非常に凪いだ海でした。
    蒼い月明かりに照らされた湖のような海。
    舳先が水を切る音だけが響く甲板の上での時間は
    夢でも見ているように幻想的でした。
    そして、私もまた街に優しく擁かれたのでした。

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