夢二十夜「俵万智」叶わぬ恋歌 ふたたび
「俵万智百選」から
潮風に君のにおいがふいに舞う
抱き寄せられて貝がらになる
この部屋で君と暮らしていた
女の子(ひと)の
髪の長さを知りたい夕べ
過ぎ去ってゆく者として抱かれおり
弥生三月さよならの月
弥生さよなら月 |
恋愛のことはやめろと諭されて
嫁入り道具の一つか歌も
ひかれあうことと
結ばれあうことは違う2人に
降る天気あめ
心には責任なんてとれぬゆえ
愛せ、とり返しのつかぬほど
おしまいにするはずだった恋なのに
しりきれとんぼにしっぽがはえる
眠りつつ髪をまさぐる指やさし
夢の中でも私を抱くの
贈られしシャネルの石鹸泡だてて
抱かれるための体を磨く
出席簿、紺のブレザー空に投げ
週末はかわいい女になろう
「俵万智百選」から掲載
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