2011年3月31日木曜日

夢二十夜「俵万智」叶わぬ恋歌 ふたたび





「俵万智百選」から


潮風に君のにおいがふいに舞う 

    抱き寄せられて貝がらになる




この部屋で君と暮らしていた
    
     女の子(ひと)の

    髪の長さを知りたい夕べ




過ぎ去ってゆく者として抱かれおり
 
       弥生三月さよならの月



弥生さよなら月



恋愛のことはやめろと諭されて

     嫁入り道具の一つか歌も




ひかれあうことと

 結ばれあうことは違う2人に

         降る天気あめ




心には責任なんてとれぬゆえ

  愛せ、とり返しのつかぬほど




おしまいにするはずだった恋なのに

  しりきれとんぼにしっぽがはえる




眠りつつ髪をまさぐる指やさし

     夢の中でも私を抱くの




贈られしシャネルの石鹸泡だてて

      抱かれるための体を磨く







出席簿、紺のブレザー空に投げ

   週末はかわいい女になろう


「俵万智百選」から掲載




 

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