2011年6月20日月曜日

夢三十二夜「サムイに遊ぶ」



バンコクから飛行機で一時間、シャム湾に浮かぶサムイ島は椰子の木で覆われた素敵な島である。一日中時間が止まった様にゆっくりと過ぎる........。




サムイで詠う十二首
















































のんびりと過ごした日々は常を忘れて.......。






2011年6月13日月曜日

夢三十一夜「リラの花咲く頃」


函館もやっと春から初夏への変わり目である。北国に住む人たちにとって桜の開花を心待ちにし、そして花びらが舞い散っても何も寂しくはないのである。

やがて函館山はそのグレイ色から一斉に若緑に変わる。街路樹も若緑に、やがてツツジが咲き、真紅のライラックが咲き始める。

ライラックの花の時期になるとどうしても高校時代の淡い思いでが巡り来る。

我が母校は函館山の中腹に佇む北海道函館西高等学校である。附近は別名「つつじヶ丘」とも言われていた。

高校の体育祭の練習日であった。グランドは校舎とは少し離れた山の中腹を切り取った様な小さなグランドである。

晴れた空は突然の雨になり、生徒全員が校舎に向って山道を歩き降りている時のことである。一年後輩の女生徒が傘を翳してくれた。嬉しいやらドキドキやら。

傘の先のほうには葡萄色のライラックの花が咲き誇っていた。

翌日、女生徒の教室に傘を返しに行った。名前も聞かなかった。小柄な可愛い子だった。ただそれだけの事である。

五年前、ご婦人が私の店に来店された。「私は高校でShibataさんの一級下ですよ」ヤット思い出した。あの時の........。時々食事に寄ってくれる。






君の差す一張りの傘思ひ出し

       セーラー服の裾翻し




アカシアの紫の花雨に濡れ

    ツツジの赤と艶やか競ひ



ひと張りの傘に肩寄せ六月の

     昭和39年アカシアの紫

函館西高等学校三年生。体育祭の練習帰り大雨に見舞われ






六月の青空アカシヤ咲く







朝霧のミルクのやうに包まれて

     静かに明けるリラの咲く頃






本当に良い季節になった
海の青、緑にツツジ鮮やかに


      六月の街久しく晴れて




リラ色の花の姿に立ち止まりそっと


     香(かほり)は梅雨空の頃







世田谷の松葉通りのくちなしの


       花の香りを今思い出し

南部坂のライラックの香りはなかなかいい匂いだった。






夕暮れの函館山


夕ふ暮れの 明日に消えて 寂しさを


   優しく包む 貴方が居(おり)て











2011年6月9日木曜日

夢三十夜「母の日そして桜散る」




母の日である。両親が亡くなってもう十八年になる。寂しい限りでだ。家人の母は要介護ながらも98歳を迎える。

記憶は薄れてはいるものの元気に娘の介護を受けている。




母の日を今は忘れて我が母は、

  まっちゃロールを黙って食べる



母の日は遠き思い出カーネーションの

     鉢を贈るはまだ昭和のころ



父の植えし桜の老木ひっそりと

    
     今年も生きて花を咲かせて



六甲の若葉に友が久しく集まり笑い声がギャラリーに響く
なつかしき 友集いて 六甲の 

     若葉の緑 見上げる 皐月


母の日に寄せて.....。
ひさびさの五月のあおぞら輝きて

      母に贈りしAmaryllis

薄れゆくあの時の記憶、
 よみがえる笑い声にもその仕草にも


散り行く桜に三首。
風に舞ひ 薄紅色の 花びらの 
   肩に留まりて そっとさよなら


ひらひらと ひとつひとつの 散り行かん
      雨の舗道の ピンクの 小紋


散りゆくも 緑の若葉を残し行く
      我も残さん 何を残さん




夢二十九夜「北の春」



北国の春は時には嵐に見舞われる。温かい三月の雪解けが終わるといよいよ函館も花の季節である。桃が咲き、梅が咲き、そして桜だ。

待ちに待った花の季節である。冷たい春雨が毎日の様に降っていた。天国からの涙の様に降っていた。


音もなく降る春雨に包まれて

     若葉の緑 桜咲かずとも


遅き春、嵐とともに訪れん 

       桜三輪八十八夜


花曇り風冷たく梅桜

  震えるやうにそっとこぼれて



老木の 桜木のやうに 我は詠む 

   枯れても花を咲かせる 素敵







春雨に天(そら)を仰ぎて薄紅の

       桜の花に今宵酔ひしれ



緑葉の花に負けじと色づきぬ、

      桜うす紅空うめつくし






散るさくら寂しくはなし北の街、

      樹々の緑は匂うがごとし


肌寒い雨もやみやっと五月晴れの登場。いい季節。