夢二十九夜「北の春」
北国の春は時には嵐に見舞われる。温かい三月の雪解けが終わるといよいよ函館も花の季節である。桃が咲き、梅が咲き、そして桜だ。
待ちに待った花の季節である。冷たい春雨が毎日の様に降っていた。天国からの涙の様に降っていた。
音もなく降る春雨に包まれて
若葉の緑 桜咲かずとも
遅き春、嵐とともに訪れん
桜三輪八十八夜
花曇り風冷たく梅桜
震えるやうにそっとこぼれて
老木の 桜木のやうに 我は詠む
枯れても花を咲かせる 素敵
春雨に天(そら)を仰ぎて薄紅の
桜の花に今宵酔ひしれ
緑葉の花に負けじと色づきぬ、
桜うす紅空うめつくし
散るさくら寂しくはなし北の街、
樹々の緑は匂うがごとし
肌寒い雨もやみやっと五月晴れの登場。いい季節。
0 件のコメント:
コメントを投稿