2011年6月9日木曜日

夢二十九夜「北の春」



北国の春は時には嵐に見舞われる。温かい三月の雪解けが終わるといよいよ函館も花の季節である。桃が咲き、梅が咲き、そして桜だ。

待ちに待った花の季節である。冷たい春雨が毎日の様に降っていた。天国からの涙の様に降っていた。


音もなく降る春雨に包まれて

     若葉の緑 桜咲かずとも


遅き春、嵐とともに訪れん 

       桜三輪八十八夜


花曇り風冷たく梅桜

  震えるやうにそっとこぼれて



老木の 桜木のやうに 我は詠む 

   枯れても花を咲かせる 素敵







春雨に天(そら)を仰ぎて薄紅の

       桜の花に今宵酔ひしれ



緑葉の花に負けじと色づきぬ、

      桜うす紅空うめつくし






散るさくら寂しくはなし北の街、

      樹々の緑は匂うがごとし


肌寒い雨もやみやっと五月晴れの登場。いい季節。

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