2011年5月5日木曜日

夢二十八夜「喜悲卯月」




北の街の四月の天気は忙しいのである。突然に気温が二十度近くになり、桜前線が猛スピードで来るなと思った途端に急に雪が降ったりする。まさに初夏と真冬の喧嘩である。

半年続いた灰色の町並みが少しずつ彩りを取り戻して来るのだ。街路樹の早咲きツツジが濃いピンク色を着ける。そしてナナカマドの若葉も一斉に緑葉を咲かす。

露払いが済むとまずは辛夷の花が咲く。梅が紅白のコントラストを着ける。そして桜花が淡いピンクの色を振りまくのである。待ちに待った北国の春の訪れである。

冷たい雨の降る日、田中好子さんの訃報がラジオから流れた。病魔と闘ってる事すら知らなかった。心からご冥福をお祈りする。





冷たい春雨の降る函館です

音もなく降る春雨に包まれて

     若葉の緑 桜咲かずとも



友人が京の都で結婚式であった祝いて二首

繭のやう優しく君を包まんと

     京の都に我誓う日に


ふりそそぐ若葉のやうな優しさに

    私あなたに永遠に抱かれて


恋女房
満天の 星空の下 寄り添いて 

    我は奏でる 君への愛を


愛でし 今日の出逢ひは 何処より

     流れ来るとも 我の願ひか


恋ひ女房 君を愛する 我なれど 

     君も我をば 愛し恋して


二人して 暮らす 逢ふ坂 我れが街 

     函館もまた、故郷のやう


悲歌六首
余りにも悲しき言葉ラジオより

    流れ聞こえて雨音消さん



優しさと可愛らしさはそのままに

  微笑み返し天(そら)から降らん



黒枠の写真はじっと佇みて

    黄色ひ歌声響くテレビは



雪をはね、ネコヤナギの 歌声が 

 明るく聞こえ スーちゃん天(そら)




まだ若き 田中好子の 訃報聞き

  我れが思い出 遠くに 消え去り



蝕ばまれ 二十余年の 戦ひは

   勝ち負けは今、だれが決めるの
合掌