夢三十八夜「秋の訪れ」
北の街の短い夏は直ぐに終わる。
幼き頃は子供心に「ああーまた長いつまらない一年が続くのか」などと思ったものである。
夏のダイナミックスに替わり繊細な秋の登場である。
秋の野に枯れ木の先でもずの鳴く
尾花風に揺れ思ひ出巡る
晩き秋落ち葉の絨毯歩きおり
カサゴソカサと石の歩道に
君と逢い君と別れし秋の日の
せつなき思ひ今は忘れて
ベランダに臥牛の山の迫り来る
紅に黄色に秋麓まで
日の出ずる津軽の海峡(うみ)の静けさに
寺の音響き秋深まりて
津軽海峡に日の出 |
雨粒の紅き枯れ葉を包む朝
我思う人我を思はず
我思う人我を思はず
甘き香も温もりさへも知らぬ吾の
一枚の写真君の架け橋
山茶花の赤に負けじと吾も咲く
今日に枯れてもまた咲く日まで
秋に詠った八首。
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