2011年12月22日木曜日

夢三十八夜「秋の訪れ」


北の街の短い夏は直ぐに終わる。
幼き頃は子供心に「ああーまた長いつまらない一年が続くのか」などと思ったものである。
夏のダイナミックスに替わり繊細な秋の登場である。





秋の野に枯れ木の先でもずの鳴く
     尾花風に揺れ思ひ出巡る



晩き秋落ち葉の絨毯歩きおり
    カサゴソカサと石の歩道に



君と逢い君と別れし秋の日の
     せつなき思ひ今は忘れて



ベランダに臥牛の山の迫り来る
       紅に黄色に秋麓まで




日の出ずる津軽の海峡(うみ)の静けさに
                             寺の音響き秋深まりて




津軽海峡に日の出




雨粒の紅き枯れ葉を包む朝
      我思う人我を思はず




甘き香も温もりさへも知らぬ吾の
      一枚の写真君の架け橋




山茶花の赤に負けじと吾も咲く
   今日に枯れてもまた咲く日まで






秋に詠った八首。


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