夢三十五夜「四度目の満月」
未曾有の大震災から早、五ヶ月が過ぎた。盆の入りである。みちのくに帰省する人たちも多く居る。でもふるさとは変わり果て、家も流され家族さえまだ行方不明の方が複雑な気持ちで新盆を迎える。
友人は炉心から50キロの地に住んでいる。震災当初は「50キロも離れているので大丈夫よ」と言っていた。情報が少しずつ解るにつれ精神的に参ってきたそうである。これから家族はどうやって生きて行くのか皆目判らないという。
家から出るとか出ないとかの問題じゃないのだ。自分たちのこれからの人生、子供達の将来。家、実家の田畑。
声もかけられない程憔悴しきっている。ニュースでは解らない当事者達の希望しない悲劇である。
でも、起きてしまった。三月十一日に........。
震災から四度目の満月の日に
花萎れ河は枯れゆきふるさとの
明日も寂しげ夏草ばかり
朝の雨あじさい愛でる人も無く
ふるさとの庭に今年も咲きて
メールさえ三月もかかり返り来る、
見えなき灰はたった三日で
満月に照らされ君のふるさとは、
たった50キロ瓦礫の炉心に
いまだ炉心から50キロにひっそり住む友人に捧げる
夏に詠う儚き四首
せみしぐれ儚き命夏空に
我も競いて君に呟き
道端の夏草ばかり生い茂り
我の愛でるは名も無き野菊
お日様の爽やかに入り来る今日、六時
海原漂うガラスの小舟
寝ても覚め、覚めても寝てもなに思ふ
十月十日で何も生まれず
「せみしぐれ…」のやるせなさに若かりし頃の自分が重なります。そんなときに私を救ってくれたのが、友と音楽でした。感謝。
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